一般的に売買が行われているマンションの多くは、マンション購入者が敷地の所有権を持つ「所有権マンション」ですが、中には建物部分のみを所有する、「定期借地権付マンション」という形で売りに出されている物件もあります。
この記事では定期借地権付マンションとは具体的にどの様なものなのかをわかりやすく解説した上で、所有権マンションと比較した場合のメリットとデメリットを詳しく紹介していきます。
定期借地権とは
定期借地権とは、土地の貸主と借主の間で予め決められた期間のみ借地契約を結び、その後の更新は基本的には無いという借地権のことです。
定期借地権には次の3種類があります。
・一般定期借地権
50年以上の借地契約を結び、契約期間満了後は建物を取り壊し、更地の状態で土地を返還する借地権
・建物譲渡特約付借地権
契約の締結から30年以上が経過した段階で土地を返還しますが、建物は土地の所有者によって買い取られるという特約が付いた借地権
・事業用借地権
契約期間は10年以上20年以下に定められ、住居としては利用できない、事業用の建物を設ける際に用いることができる借地権
この中で、マンション契約には一般定期借地権が用いられることが一般的です。
つまり、定期借地権付マンションの場合には、マンション購入者は最短50年で契約が満了となり、建物部分を取り壊して土地を貸主に変換する必要があるということです。
定期借地権付きマンションのメリット
土地を返還しなければならない定期借地権付きマンションにもメリットが存在します。人によっては定期借地権付マンションの方がお得に住める場合もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
取得価格が安い
特殊な条件を含んだ契約を結ぶことになるため、所有権付きマンションと比較して取得価格が安く、入手しやすいことが最大のメリットです。
一般的な相場としては、所有権付きマンションの70~80%ほどの価格で売りに出されることが多く、優良物件を安価で取得できる場合もあるでしょう。
不動産価格が高い地域だとしても、定期借地権付きマンションに限定して物件選びを行えば、手の届く予算内で憧れている地域に家を構えられるかもしれません。
土地への固定資産税等がかからない
定期借地権付きマンションを購入すると、建物は自分の物になりますが、土地はあくまでも借り物であり、地主が土地の権利を持ち続けます。
そのため、所有権付きマンションとは異なり、土地に対する固定資産税等がかからないことも定期借地権付きマンションのメリットです。
この形式で住宅を購入することにより、取得費のほかに毎年かかる維持費も安くなるため、金銭面での利益を得やすくなることを覚えておくと良いでしょう。
定期借地権付きマンションのデメリット
反対に、定期借地権付きマンションを入手した際に生じるデメリットが何になるのかについても、わかりやすく紹介していきます。
返還という大前提意外にも、毎月のコストに関わるデメリットがあることを知り、慎重に購入の有無を検討するようにしましょう。
土地を返還する必要がある
定期借地権付マンションの場合、契約満了時には土地を返還することが前提の契約を結ぶため、定期借地権の期限が切れる際には自宅を手放さなければなりません。
ただし、所有権マンションであっても50年以上の居住となると老朽化による建て替え費用の問題なども発生し、無条件で2代3代と住み続けられる訳ではないため、取得価格の安さとトレードオフとなるデメリットとしては大きすぎるものとは言えないでしょう。
地代や解体費用が発生する
定期借地権付マンションは土地に対する固定資産税がかからないことはメリットですが、その代わりに地主に対して地代を支払う契約を結ぶことが一般的です。
また、建物の買取が契約で義務付けられていない場合には、土地を更地にして返還しなければならず、マンションの解体費用が発生します。
解体費用は解体時にマンションの住民でそれぞれの負担分を一括で支払う場合もありますが、積立金で賄うケースも見受けられます。
住宅ローンが組みにくい
定期借地権付きマンションでも住宅ローンを組める可能性はありますが、それ以外のマンションと比べて審査落ちするリスクが高いこともデメリットです。
仮に定期借地権が50年間の場合、35年ローンを組むことは可能ですが、ローン完済後に残された期間は15年間に限られます。
そのため、将来的にマンションの売却を検討した際、新しい買い主は住宅ローンを組めない可能性が高くなり、売却が困難になるリスクも秘めています。
また、契約したマンションを賃貸、または売却する際には、借地権者からの承諾を得なければならず、認められない場合は自己保有を継続しなければなりません。
まとめ
定期借地権付きマンションは、土地を一定期間に渡って借りる契約を結び、契約満了後は建物を解体して更地に戻し返還することを前提とした契約を持つ物件です。
相場よりも安く購入できることがメリットですが、解体費用などがかかることや売却のしにくさがデメリットとなり、購入の有無には慎重な判断が必要になります。